ゴリラはモンキーと違って9Lも入る燃料タンクが最大の特徴です
小柄なので、玄関先の屋内に入れるのにも無理の無い大きさながらも、大人が普通に乗るのに全く問題ない快適なポジションで、近所の散策から、大きなタンク容量を生かしたロングツーリングも楽しめるバイクです
勿論ツーリングにはもっと大きなバイクで出掛けるのが一般的ですが、原付のツーリングには、また別の良さがあります
私もリッターバイクで九州を横断したり、オフ車をダットラに乗せて泊まりがけで林道の奥地まで出掛けたりと、様々なツーリングをして来ましたが、やはり一番思い出に残っているのは、兄と出かけた、生まれて初めての原付ツーリングです
バイクはHONDA TL50、兄がSUZUKI GN50
当時住んでいた千葉市の検見川から、房総半島を行けるところまで下ってみる、というツーリングで、土地勘も経験も全くありません
コンビニも携帯もGPSも無い時代
国道14号では、真横を轟音を上げて追い越して行くダンプに心臓が縮みあがり、途中雨が降って来て、塗れた路面で不用意に掛けたブレーキで転倒、幸いにも人間もバイクもかすり傷程度で、田舎の方に行くとよくある、バス停に建てられた小さな小屋で、雨宿りをしたりしました
全く無計画なツーリングでしたが<あの時のあの感じ>は、忘れがたいものがあります
散歩とも自転車とも車とも大型バイクとも違う、原付ならでは速度で移動することでしか見えない世界があり、それは他のカテゴリーの乗り物では、なかなか味わうことが出来ない素晴らしい体験です
話をゴリラに戻しますと、フカフカなシート、快適なポジション、大きな燃料タンク、前後キャリア、長時間の巡航に適したクラッチ付きの4速ミッションと、原付の中では意外にもツーリングに必要なスペックを充分に満たしています
シンプルなメカニズムなのでトラブルの心配が少ないのも利点です
忘れている人も多いかと思いますが、ブロックタイヤとアップマフラーなので、旅先の道が急に未舗装になっても大丈夫
自宅で跨った瞬間から、小さな冒険が始まります
このゴリラは一般整備に加えて、販売に際して、純正パッキン、新品ニードル等を使って、キャブレターのオーバーホールをしてあります
車体番号から判断して、1980年に販売された車両になりますが、年式の割にはかなり状態は良いかと思います
ゴリラは純正、社外品を含めてパーツが豊富ですので、部品が無くて維持に困ることは無いと思います
豊富な社外部品を生かして改造して楽しむのも良いですが、この個体は年式の古いフルノーマル車なので、出来ればこのままの状態で、大切に乗って頂きたい一台です